花 露

 「イワシャジンの花」は、山野草の花を撮影していたころから一度見てみたいと憧れていた。どこに行けば見られるのか見当もつかなかったが、いつも蝶の撮影で同行している花に詳しいKさんに案内をお願いして、やっと長年の夢が叶った。山深い町から、さらに山道を車で20分登り標高1,200mの峠近くに、イワシャジンが咲く崖地があるという。青い空と連なる緑の山波を一望できる峠付近は、ひんやりして気持ちがよい。崖に木版画で何度も作品のモチーフにしているツルニンジンの花を発見して、撮影していたところメンバーのひとりがヒルに咬まれたという。雨上がりの草地は危険で、過去に何度も咬まれて痛い目に遭っていることを思い出した。ズボンの上に靴下をまくりあげ、ヒル避けスプレーをズボンに吹きつけてもらい、これで何とか一安心だ。しかし、その草地には二度と入らなかったことは言うまでもない。
 さて、本命のイワシャジンの咲く崖地は、さらに奥に入った場所で、離れていても青紫色の花が点々と咲いているのですぐに分かる。比較的低い場所に咲く花を探してカメラを向け、ファインダー越しに見る花の美しさに感嘆。花に付いた水滴が、この花の魅力をさらに倍加させているようだ。今回の目的は、この花を来年からスタートする木版画「花の山野草」シリーズのひとつに加えるための取材でもある。撮影する前から、どんなイメージの作品にするのか、すでに頭の中にあるので、そんな花のシーンをひたすら探すが、なかなか思うように見つからない。花茎が垂れ下がり、花が三つ、葉も2~3枚欲しい・・・何とかイメージする写真が撮れた。どの写真か、みなさんに分かりますか?


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▲ツルニンジンの花

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▲イワシャジンの花
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# by kazenohane | 2016-09-12 10:11 |

花蝶譜 Ⅴ

 通常2本立てくらいで終わる記事を5本に分け、時間稼ぎをしたが、やっと今回で終わりそうだ。25年前に高い位置だったが、シラカバの幹に止まっているキベリタテハの姿を見て以来、久しぶりの出会いだ。実は、同行の人がこの蝶をおびき寄せるために、飼い猫のフンまで準備してきたという。このフンに集まることはなかったが、そんな熱意のおかげで、この蝶を撮影できた。緑の背景の入る崖の角のコンクリート部分に止まってくれたところを素早く撮影した。話には聞いていたが、この蝶はコンクリートがお好みのようだ。また、この高原では初めて見かけるミヤマカラスシジミが、白いイタドリの花で盛んに吸蜜していた。派手さはないが、こげ茶色の翅色はゼフィルスのような雰囲気があり、3年前に、どんな種類のミドリシジミだろうかと、わくわくしながら図鑑で名前を調べたことを思い出した。
 アザミの種類は多く、フジアザミは葉も花も大きく、他のアザミとは一目瞭然に違いが分かる。このアザミの花にアサギマダラが吸蜜に訪れたらいいだろうなと密かに期待したが実現しなかった。富士山の山腹の砂礫地に多く生育しているところから、この名が付いたという。


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▲フジアザミ

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▲キべリタテハ

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▲ミヤマカラスシジミ


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# by kazenohane | 2016-09-06 17:17 |

花蝶譜 Ⅳ

 高原から平地にアサギマダラが移動する季節になった。そんな旅する蝶の姿を高原で撮影してみたいと思い、なじみの高原の林道を8月下旬に訪れた。アサギマダラの吸蜜するヨツバヒヨドリの花は、やや盛りを過ぎていたが、それでも標高1,600m付近ではまだまだ蜜源としての役割を十分に果たしていた。崖地の石灰分が浸み出している白い部分にアサギマダラが多く吸水していた。これは、蝶がミネラル分を摂っているという。長旅をするこの蝶の貴重な栄養源になっているのだろうか。まだまだ蝶の知らない未知の部分を垣間見た気がした。また、愛知県の海沿いの山地で再会するのを楽しみにしたい。
 ガガイモはアサギマダラの食草としても知られているが、その独特な質感のある花はなかなか魅力的だ。いつも愛知県の知多半島の海岸近くの草地で見かけているが、こんな高地でもこの花が見られるとは意外な感じがした。この植物と同じ仲間のイケマは、この高原では至る所に生えていた。


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▲ガガイモ

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▲アサギマダラ


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# by kazenohane | 2016-09-03 22:53 | マダラチョウ

花蝶譜 Ⅲ

 今年は、いろんなスジボソヤマキチョウのシーンを撮影してきたが、飛んでいる姿をまだ捉えていなかった。高原の林道を歩きながら、スジボソヤマキチョウを探していたところ、クサボタンの花を訪れる蝶を発見。やや盛りを過ぎているのか、勢いよく飛ぶ気配もなく、この花を熱心に吸蜜していた。これなら飛翔する姿を撮れるかも知れないと思い、止まっている蝶にピントを合わせて、花から離れる瞬間を何度も狙ってみた。どうしても望遠で撮影すると深度が浅く、ピンボケばかりで思うような写真には程遠い。ピントが合っていても、蝶の位置や角度が気に入らなかったりして難しいものだなと思う。それでも、30分くらい粘って撮影している時間は、いろんなことを忘れ夢中になれる。
 ハナイカリの花は、何と45年ぶりの再会だ。20代の頃、信州の高ボッチ高原にマツムシソウの花の撮影に8月下旬に訪れ、そこで撮影して以来だったから、この出会いはとても嬉しい。ハナイカリの淡い黄緑色の花を見ていると、若かりし頃のいろんな思い出が甦ってきた。そういえば、この時、一緒だったペアが結婚して、老後に私がいつも訪れている高原で鉄道模型の走る喫茶・レストランを開いていると風の便りで聞いた。昔を懐かしむ・・・そんな歳になったようだ。


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▲ハナイカリ

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▲スジボソヤマキチョウ

 
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# by kazenohane | 2016-09-01 11:46 |

花蝶譜 Ⅱ

 もうこの季節には、ベニヒカゲはいないだろうと思っていたが、目の前に、翅の破損もほとんど見られない姿で現れた。しかも、カメラと平行になるように止まってくれたおかげで、背景が美しくぼけ、蝶全体にピントが合い、こんなふうにしてくれたらいいのにと思っていた理想のポーズだった。いつも、地面や岩の上に翅を開いている、お決まりのポーズのイメージがあったが、これだったら何度でも撮りたくなるだろう。
 いつもは、もう少し早い7月末に出掛けることが多く、ミヤマモジズリの開花には早く、蕾の状態だった。今回、天気の都合で8月下旬だったことが幸いして、この美しい花を撮影することができた。都会でもよく見かけるネジバナによく似ているが、花は少し大きいようだ。この植物も野生ランの一種で、昔からぜひ見てみたいと憧れていた花のひとつだ。ミヤマモジズリの周りには、白いウメバチソウの花が咲き乱れていたので、そんな雰囲気も画面に入れてみた。

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▲ミヤマモジズリ

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▲ベニヒカゲ
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# by kazenohane | 2016-08-29 21:32 | ジャノメチョウ

写真とエッセイで構成されたアルバムです


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