7月中旬の上高地は、さすがに観光客が多く、明神橋に至る散策路は、カラフルな色彩の服を着た若い女性たちが楽しそうに往来している。そんな観光客のすぐ近くの湿地には、クガイソウの花にコヒョウモンやミドリヒョウモンなどの蝶たちが盛んに吸蜜に訪れている。これらの蝶にカメラを向けていると、観光客たちも、何がいるのか興味深そうに、こちらの方を見つめている。
あっ、と言う間に遠くに飛び去るミドリヒョウモンやウラギンヒョウモンなどとは違い、このコヒョウモンは、花から花へと、草の間を緩やかに縫うように飛ぶ。そんな意味では、何度も撮影チャンスを与えてくれる、この蝶は、比較的撮り易いような気がする。いつも思うことは、何が楽しくて、この趣味を続けているのかと。蝶に気づかれないように、ジワジワと追いつめて撮影できたときの充実感こそ、至福の愉しみではないだろうか。(2013年7月20日・上高地)